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運送契約では契約書の作成がトラブル防止に必須!

2023年11月13日
  • 一般企業法務
  • 運送
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運送契約では契約書の作成がトラブル防止に必須!

平成30年、約120年ぶりの大改正となった民法の流れを受け、運送分野に関わる商法も改正されました。国土交通省は、貨物自動車運送事業の安全向上のためガイドラインを公表するなどして、運送契約の書面化を推進しています。

これまで、荷物等の運送を依頼する際、荷主と運送業者間でときちんと「契約書」等の書面を取り交わさないケースが少なくありませんでした。しかしそれでは運送中に荷物が破損してしまったとき、荷物の遅配が発生したときなどのトラブル発生時に対処方法が定まらず、問題が拡大する可能性があります。

荷主は、運送業務を依頼するときには必ず契約書を作成すべきといえるでしょう。今回は、荷主である運送会社が契約書を作成する重要性や注意点を、ベリーベスト法律事務所 天王寺オフィスの弁護士が解説します。

1、運送契約とは

運送契約は、物品はもちろん、人の運送にも関わる契約です。ここでは、運送を委託する企業や受託業者が知っておくべき運送契約の概要について解説します。

  1. (1)運送契約の概要

    運送契約とは、荷物や旅客の運送をする際、運送条件や費用、トラブル発生時の対応等を定めた契約で、荷主と運送業者の間で締結されます

    運送契約は口頭でも成立するため、必ずしも契約書を作成する必要はありません。
    しかし、契約書を作成しなかった場合、運送条件、輸送形態や発着時間、遅延した場合の対応、支払時期などが明確にされず、のちのちトラブルとなるリスクが生じます。また、事前に業務内容が明確でないと、契約書に書いていない仕事の追加があった場合、料金について揉めるケースも出てくるでしょう。

    荷主と運送業者、お互いのためにも運送契約書の作成はメリットが大きく、重要といえます。

  2. (2)運送契約書の記載事項

    契約書には、以下の内容を記載する必要があります。

    運送契約における契約書の記載事項

    荷物の特定 運送品の概要(品名、重量、個数など)
    運送の日時 積み込みや取り卸しの日時、場所
    運送の扱種 積合せ運賃、貸切距離制運賃、貸切時間制運賃などの区別
    費用 運賃と燃料サーチャージ、各種料金(積込料や取り卸し料、待機時間料、附帯業務料等)、有料道路利用料、立替金その他の費用などは別立てで記入
    支払方法、支払期日 いつまでにどのように代金を支払うか明記
    契約書の作成年月日 契約書を作成した年月日を明記
    荷送人、荷受人の連絡先 送り主と送り先の名称、住所や電話番号等
    高価品 高価品があれば、貨物の種類と価額を記載
    積込みまたは取卸し作業の委託の有無 作業を委託するのであれば、その旨を記載
    附帯業務の委託 荷造り、仕分けなどの付帯業務があれば、明記しておく
    運送保険加入の委託の有無 保険加入を委託するなら明記しておく

    参考:国土交通省「トラック運送業における書面化推進ガイドライン」

    なお、平成30年に「省エネ法」(エネルギーの使用の合理化等に関する法律)が改正されたため、同法が適用される「荷主」の範囲が広がっています。これまで荷主となるのは「貨物の所有権を持つもの」だけでしたが、「輸送の方法を決定する事業者」も含まれるようになりました。

    これにより、貨物の所有権をもたないネット小売事業者なども「荷主」として規制を受ける可能性があります。輸送方法を決定しているEC事業者は、今一度、運送契約について自社の対策を見直しておくとよいでしょう。

2、なぜ契約書を作成すべきなのか

前述の通り、運送契約は口約束でも成立するので、現場では契約書なしに業務が進められているケースもあります。しかし実際には運送契約書などの書面を作成しておく必要性が高まっています。以下で運送契約において書面を作成するメリットをお伝えします。

  1. (1)条件面が明らかになってトラブルが発生しにくくなる

    契約書を作成して運送条件を明確にしておけば、余計なトラブルを招くおそれがありません

    運送契約書がなかったら、運送業者にはどのような義務が発生するのか明らかになりません。また運送時に発生した各種費用もどこまで荷主に請求できるのか不明です。荷主が期待していたのと異なる方法で運送されてしまう可能性がありますし、運送業者の負担が過大になって不満をぶつけられるリスクも発生するでしょう。

  2. (2)コンプライアンスの強化

    運送契約書を締結していれば、契約条件を超えた要求をしたり値下げ交渉などをしたりできません。そのため荷主が「下請法違反」などになるリスクが低くなり、コンプライアンスを順守できます。

    また運送契約書により運送業者の義務の範囲が明らかになれば「契約当初に聞いていなかった急ぎの対応」などが要求されないので、個々のドライバーへの過大な負担を避けやすくなります。

    近年では運送業に携わる労働者の長時間労働が問題となり、多数の交通事故等も発生しています。荷主としてきちんと契約書を取り交わし相手業者のドライバーへ配慮していれば、結果的に荷主会社の社会的評価も上がるでしょう

  3. (3)運送におけるトラブル発生時に対応しやすくなる

    運送業務を行う際には、さまざまなトラブルが発生するリスクがあります。遅配や配送ミス、ときには飲酒運転やスピード違反、居眠り運転などの道路交通法違反や交通事故等も起こりうるでしょう。

    契約書で運送業者側の違反行為や責任を明示しておけば、トラブルを予防しやすくなります。また、実際にトラブルが発生してしまったときにも、契約書で責任の所在を明らかにしておけば、スムーズに問題を解決できるでしょう。

3、荷主側は「過度な要求」をしないように注意を

運送契約によって運送業者へ仕事を依頼するとき、荷主としては「過度な請求」を行わないよう注意が必要です。

  1. (1)荷主勧告制度について

    荷主が運送業者へ過度な請求をすると「荷主勧告制度」が適用されるリスクがあります。

    荷主勧告制度とは、運送業者が違反行為をして行政処分等を受ける際、荷主にも責任があるとみなされると荷主に対して再発防止の勧告が行われるものです。貨物自動車運送事業法によって規定されています。

    荷主勧告制度は平成26年に改正されたため、より発動されやすくなりました。それまでは運送業者側から「過去3年以内に警告を行うための協力要請書」が送られている必要がありましたが、改正によって協力要請書は不要となりました。今は「運送業者による違反が荷主の行為にもとづく」という要件を満たせばすぐに「荷主勧告制度」が発動されます。

    また、令和6年4月よりトラック運転者の時間外労働規制が、原則年360時間以内、特別条項では年960時間以内(法定休日労働を含まず)となります。これは運送会社だけの問題ではありません。荷主が労働時間のルールを無視した依頼をすれば勧告の対象となります。

    不名誉な行政勧告を受けたくなければ、無理な要求をしないよう社員教育や情報共有も徹底しておくのが望ましいでしょう。

  2. (2)下請法について

    次に「下請法」にも注意が必要です。下請法とは、親事業者と下請け事業者との間に大きな力の差があるとき、親事業者による下請け事業者への不当な行為を規制するための法律です。

    たとえば以下のような行為が下請法によって禁止されます。

    • 代金の支払い遅延
    • 代金の減額
    • 買いたたき行為
    • 報復措置
    • 不当な変更ややり直しの要求


    荷主側が大企業、運送業者が小規模事業者の場合に荷主が運送業者に無理な要求をすると、「下請法違反」となる可能性があります。
    下請法違反になると、50万円以下の罰金刑の対象になりますまた、企業名が公表されるので社会における評価が大きく低下するおそれがあります

  3. (3)元請け業者からの損害賠償請求について

    荷主勧告制度や下請法の対象にならないケースでも、荷主が過大な要求をすると運送業者やドライバーとトラブルになる可能性があります。

    荷主側の過度な要求に直接起因して交通事故等が発生すれば、事故の損害賠償責任が荷主側に及ぶリスクもあります

    「今すぐ届けてほしい」「1分でも遅延したら一切料金は払わない」など、無理な要求をせず、運送業者側の状況にも配慮しながら実現可能な条件を定めましょう。

4、運送契約の締結は弁護士に相談を

運送契約を締結する際には契約書の作成も含めて弁護士に相談、依頼することで、法令を順守し、安心して取引を行うことができます。以下で弁護士に依頼するメリットをご紹介します。

  1. (1)コンプライアンスを順守した内容にできる

    運送契約書を作成する際には、コンプライアンス違反とならないよう注意しなければなりません。前述した通り、荷主側による過大な要求のせいでトラブルが発生したら損害賠償責任を問われたり、下請法による規制が適用されたりする可能性があります。

    弁護士が契約書作成をサポートすれば法令違反の心配は不要です。双方の利益に配慮した適切な内容の契約書により、運送業者とも円満な関係を築けるでしょう

  2. (2)交渉依頼も可能

    運送契約を締結する際には、さまざまな条件設定が必要となります。遅配したとき、ミスがあったとき、高速道路を使ったときの料金の負担など、状況に応じて取り決めねばなりません。自社にとってどのような条件が最善か決めにくい場合でも、弁護士に相談すれば、法令にのっとった適切なアドバイスを受けられます。

    また弁護士に運送業者との交渉を一任することで、相手方への配慮も含めつつ自社の利益を最大化するような契約の成立が期待できます。社内で交渉をするよりも、弁護士に依頼することで、時間や労力もコスト削減できるでしょう

  3. (3)円滑な取引を実現できる

    弁護士は、単に「法的に適正な契約」を締結するだけが仕事ではありません。企業法務の実績がある弁護士であれば、契約相手との円満な関係構築や円滑な取引成立も視野に入れて対応します

    会社の今後の発展へとつなげるためにも、弁護士に契約書作成を依頼するのは大きなメリットといえるでしょう。

5、まとめ

運送業者に輸送を任せるなら、運送契約書の作成は重要です。ただし頻繁に法律が改正されるため、改正法への対応は必須です。

運送契約における契約書の作成でお悩みの際は、ベリーベスト法律事務所の弁護士にお気軽にご相談ください。運送契約書はもちろん、その他の各種契約書、利用規約、就業規則などの作成にも幅広く対応しております。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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