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残業規制が適用除外の業種とは? 36協定や残業代の計算方法を解説

2024年01月25日
  • 労働問題
  • 残業規制
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残業規制が適用除外の業種とは? 36協定や残業代の計算方法を解説

労働基準法で定められた労働時間を超えた勤務は原則違法ですが、緊急対応や繁忙期の労働などは、36協定を結ぶことで残業が認められます。

ただし、36協定を締結したとしても残業時間には上限が設けられています。この残業規制は令和元年(2019年)の働き方改革からスタートし、令和6年(2024年)からは建設業等も残業規制の適用除外が撤廃されます。これにより、大阪万博の建設が遅れたり、インフラ整備や物流にも影響がでたりするのではないかという、いわゆる「2024年問題」が話題になっています。

この記事では、36協定のルールや、令和6年4月まで残業規制の適用が除外されている業種、適用除外に関する注意点などについて、ベリーベスト法律事務所 天王寺オフィスの弁護士が解説します。

1、36協定のルールとは?

労働時間は、以下の通り規定されています(労働基準法32条)。

  • 使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない
  • 使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない


ただし、使用者は、過半数代表と労基法第36条に基づく労使協定(36(サブロク)協定)を締結し、所管の労働基準監督署長に届け出ることによって、労働時間を延長し休日に労働させることができるようになります

しかし、36協定によっても無限に労働時間を延長できるわけではありません。
延長して労働させられる限度時間については、「1か月について45時間」、「1年について360時間」が原則です(労基法第36条4項)。

また、臨時的に労働させる必要がある場合であっても、使用者は以下の上限を守る必要があります。

  • 時間外労働が年720時間以内
  • 時間外労働と休日労働の合計が「1か月100時間」未満
  • 時間外労働と休日労働の合計が「2か月平均」「3か月平均」「4か月平均」「5か月平均」「6か月平均」のすべてについて「1か月当たり80時間」以内
  • 時間外労働が「1か月について45時間」を超えるのは1年間で6か月まで

2、36協定の残業規制が適用除外となる業種

36協定の残業時間規制については、以下の事業・業務については令和6年4月まで適用が猶予されています。

  • 建設事業
  • 自動車運転業務
  • 医業に従事する医師
  • 鹿児島県及び沖縄県における砂糖製造業


  1. (1)工作物の建設の事業

    これまでは、工作物の建設・修繕・解体などを行う建設業については、36協定の適用が猶予されてきました。しかし、令和6年4月以降は「建設事業」についても、残業規制がすべて適用されることになります

    例外的に、災害時における復旧・復興に関する事業については、一部の残業規制が適用されません。

  2. (2)自動車運転の業務

    自動車運転の業務とは、トラックやバス、タクシードライバーなどの運送業務のことをさします。これら自動車運転事業についても、令和6年4月からは、36協定に特別条項を付して締結していたとしても年間の時間外労働の上限は「960時間」となります。

  3. (3)医業に従事する医師

    令和6年4月以降、医師については、以下のような残業規制が適用されるようになります。

    まず特別条項付きの36協定を締結する場合には、年間の時間外・休日労働の上限が最大「1860時間」になります。

    また、時間外労働が「1か月について45時間」を超えるのは年6か月までという残業規制は適用されません

    さらに、医療法などに追加的健康確保措置に関する定めが存在しています。
    人命を預かるという医療の特性から、やむを得ず一般の労働者に適用される時間外労働の上限時間を超えて医師が働かざるを得ないケースがあります。その際、医師の健康や医療の質を確保するため、一般労働者について限度時間を超えて労働させる場合に求められている健康福祉確保措置に加え、追加的な措置が要請されているものです。

  4. (4)鹿児島県及び沖縄県における砂糖製造業

    鹿児島県や沖縄県の砂糖製造業については、季節により業務量の変動が激しいためこれまで残業規制から除外されていました。しかし令和6年4月以降、残業規制がすべて適用されることになります。

3、36協定の適用除外に関する注意点

36協定の適用が除外されているのは、特定の業務・業種だけではなく、特定の従業員のケースもあります。ここでは、36協定の適用が除外されている従業員の種類について解説していきます。

  1. (1)従業員が18歳未満の場合

    従業員が18歳未満の年少者である場合には、原則として36協定は適用されません(労基法第60条1項)。年少者については特別の保護が必要であると考えられているため、従業員本人が希望したとしても時間外労働・休日労働をさせることはできないのです。

    例外的に、「1週間40時間」の範囲内で、1週間のうち1日の労働時間を4時間以内に短縮する場合には、他の日の労働時間を10時間までに延長することができます(労基法第60条3項1号)。

    また、1週間ついて48時間以下の範囲内、1日8時間を超えない範囲内で特定の日・週について変形労働時間制を採用することができます(労基法第60条3項2号、32条の2、32条の4)。

  2. (2)育児・介護に関する請求があった場合

    育児介護休業法には、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者が子を養育するために請求したときは、「1月について24時間」、「1年について150時間」の制限時間を超えて労働時間を延長することはできません(育児介護休業法第17条1項)。

    また、「要介護状態」にある「対象家族」を介護する労働者からの請求があった場合についても同様です(同法18条1項)。「要介護状態」とは、負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により、常時介護を必要とする状態をさし、「対象家族」とは、配偶者(内縁関係も含む)、父母及び子並びに配偶者の父母のことです。

    さらに、育児・介護に関する請求があった場合には、午後10時から午前5時までの深夜労働をさせることもできません。

  3. (3)妊産婦から請求があった場合

    使用者は、妊産婦が請求した場合には、時間外労働、休日労働、深夜業をさせてはなりません(労基法第66条)。妊産婦の場合には特別の保護が必要であると考えられていますので、36協定の適用除外のほかに、産前産後休業の取得、業務量の軽減等を請求することもできます。

  4. (4)管理監督者

    「監督若しくは管理の地位にある者」は、労働時間、休憩及び休日に関する規定の適用が除外されています(労基法第41条2号)。そのため管理監督者は36協定の適用を受けません。

    管理監督者の定義は、法令上明確にはされていませんが、行政解釈によると、重要な職務と責任を有しおり、現実の勤務態様も労働時間等の規制になじまないような立場にあり、賃金などの待遇面において一般労働者よりも優遇されていることが判断の基準になると考えられています。

    なお、労働時間の長さに関する規制ではなく、労働の時間帯に着目した深夜業規制については、規制の趣旨が異なるため、管理監督者についても適用されます。

4、残業規制が適用除外となる業種の残業代の計算方法は?

法定労働時間を超える労働のことを時間外労働といい、この時間外労働に対しては所定の賃金に一定の割増賃金を上乗せした割増賃金が支払わなければなりません。この割増賃金のことを一般的に「残業代・残業手当」といわれています。

時間外労働や深夜労働の割増賃金は、通常の労働時間または労働日の賃金の計算額の25%以上の賃金が支払われることになります(労基法第37条1項、割増賃金)。

たとえば、月給50万円の管理職が深夜労働を8時間したとしましょう。この人は管理監督者であるため36協定の適用はありません。しかし、深夜業に関する規制の適用はあるためこの8時間については基礎賃金の25%の割増賃金が支払われなければならないのです(労基法第37条4項)。

5、まとめ

今回は、令和6年(2024年)4月まで残業規制の適用が除外されている業種について解説しました。

労働基準法において、原則1日8時間・週40時間以内の労働となるよう定められています。ただし、労使間で36協定を締結した場合には、労働時間を延長することができますが、その場合でも月45時間・年360時間の「残業規制」があることに注意が必要です。

従業員の残業規制が適用除外となるのか判断できない場合や、残業代計算の方法がわからなくてお困りの方は、一度弁護士にご相談されることをおすすめします。
ベリーベスト法律事務所 天王寺オフィスは、労働問題に関するお悩みについて幅広くご相談を承っております。ぜひ一度お話しをお聞かせください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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