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労災の治療で自己負担は必要? 補償されない部分の請求先と請求方法

2023年09月26日
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労災の治療で自己負担は必要? 補償されない部分の請求先と請求方法

2021年(令和3年)に大阪中央労働基準監督署管轄内で発生した労働災害は1165件でした。

労災による損害は、労災保険によって補塡(ほてん)されます。ただし、労災保険給付によっては損害全額がカバーされず、被災労働者の自己負担が生じる可能性もあることに注意が必要です。被災労働者が自己負担した損害額は、会社に対して損害賠償を請求できる可能性があります。

本コラムでは、労災の費用や損害のうち自己負担になる可能性があるものや、自己負担額を回収する方法などについて、ベリーベスト法律事務所 天王寺オフィスの弁護士が解説します。

1、労災の費用・損害のうち、自己負担になり得るもの

業務上の原因でケガや病気をしたり、通勤中にケガをしたりしたことが「労働災害(労災)」として認定されると、労災保険給付を受け取ることができます。
また、労働災害に関連して発生した損害については、会社に対して賠償を請求できる可能性もあります。

ただし、労災保険給付によってもカバーされない費用や、賠償を請求することが難しい損害も存在する点に注意してください。

  1. (1)標準治療ではない治療の費用

    労災保険給付によってカバーされる治療費(医療費)は、労災との間で相当因果関係があるものに限られます
    基本的には、医学的な治療効果が認められている標準治療が労災保険給付による補償の対象となります。

    標準治療でない治療の費用については、労災との間に相当因果関係が認められず、労災保険給付の対象外となることがあります。
    このような費用については会社に対して請求することも難しいため、治療費は被災労働者の自己負担となってしまう可能性が高いのです。

  2. (2)付添看護の費用

    被災労働者が入院や通院した際家族などが仕事を休んで看護に付き添った場合には、その分の家族の収入が失われることになります。

    原則として付添看護の費用は労災保険給付の対象外であるため、いったんは労働者側の自己負担となります。
    ただし、付添看護の費用については、後から会社に対して損害賠償を請求できる可能性もあります

  3. (3)差額ベッド代

    差額ベッド代(入院室料加算)については、以下の①と②の要件をどちらも満たす場合に限り、労災保険給付の対象となります。

    ① 一定の基準を満たす病室で、傷病労働者の容体が常時監視できる設備・構造上の配慮がなされている個室・2人部屋・3人部屋・4人部屋に収容したこと

    ② 傷病労働者が以下のいずれかに該当すること
    • (a)症状が重篤であって、絶対安静を必要とし、医師または看護師が常時監視し、随時適切な措置を講ずる必要があると認められるもの
    • (b)症状は必ずしも重篤ではないが、手術のため比較的長期にわたり医師または看護師が常時監視を要し、随時適切な措置を講ずる必要があると認められるもの
    • (c)医師が、医学上他の患者から隔離しなければ適切な診療ができないと認めたもの
    • (d)傷病労働者が赴いた病院または診療所の普通室が満床で、かつ、緊急に入院療養を必要とするもの(初回入院日から7日間に限る)


    上記に該当しない場合は、差額ベッド代は被災労働者の自己負担となります。
    また、入院室料加算には上限額(個室の場合は1日あたり1万1000円または9900円)が設けられており、それを超える差額ベッド代も被災労働者の自己負担となる点に注意しましょう。

  4. (4)労災病院・労災保険指定医療機関以外でかかった費用

    被災労働者は、労災病院または労災保険指定医療機関(労災指定病院)において、ケガや病気の治療を無償で受けることができます。

    これに対して、労災病院または労災保険指定医療機関以外の医療機関を受診した場合には、治療費は被災労働者が全額負担しなければなりません。
    その際には、健康保険も適用できません。
    ただし、後から労働基準監督署に「療養の費用の支給」を請求することで、支払った治療費の還付を受けることができます

  5. (5)損害と労災保険給付の差額

    労災による損害のなかには、以下に挙げるように、労災保険給付によってはカバーされないものがあります。

    • 精神的損害(慰謝料)
    • 休業により得られなかった賃金の20%相当額
    • 後遺症の逸失利益のうち、実額と労災保険給付の差額
    など


    これらの損害については、会社に対して損害賠償を請求できる可能性もあります。

    損害賠償の請求を検討する場合には、そもそも請求が可能なのかどうかや適切な損害賠償金額について判断するために、専門家である弁護士に相談しましょう。

2、労災保険保険給付の種類

被災労働者(またはその遺族)は、労災によって被った損害につき、以下の労災保険給付を受けることができます。該当する労災保険給付については、漏れなく請求を行いましょう。



  1. (1)療養給付

    「療養給付」は、労災によるケガや病気の治療費をカバーする労災保険給付です。
    労災病院または労災保険指定医療機関の治療を無償で受けられる「療養の給付」と、それ以外の医療機関における治療費の償還を受けられる「療養の費用の支給」の二種類があります。

  2. (2)休業給付

    「休業給付」は、労災によるケガや病気の影響で仕事を休んだ場合に、失われた収入を補塡(ほてん)する労災保険給付です。
    休業4日目以降、給付基礎日額(原則として労働基準法上の平均賃金)の80%相当額が補償されます。

  3. (3)障害給付

    「障害給付」は、労災によるケガや病気が完治せず後遺症が残った場合に、労働能力の喪失による逸失利益を補填する労災保険給付です。
    障害給付の金額は、医師の診断書などに基づき、労働基準監督署が認定する障害等級に応じて変わります

  4. (4)介護給付

    「介護給付」は、要介護状態となった被災労働者の介護費用を補填する労災保険給付です。
    障害等級第1級の障害、または第2級の精神・神経障害もしくは腹膜部臓器の障害が残り、現に介護を受けている場合に受給できます。

  5. (5)遺族給付

    「遺族給付」は、労災によって被災労働者が死亡した場合に、遺族の生活保障の目的で行われる労災保険給付です。
    被災労働者の賃金額に応じた年金が支給されるほか、300万円の一時金(遺族特別支給金)も支給されます。

  6. (6)葬祭給付

    「葬祭給付」は、労災によって被災労働者が死亡した場合に、葬儀費用を補填する労災保険給付です。

    以下のいずれかのうち、多いほうの金額が支給されます

    • ① 31万5000円+給付基礎日額の30日分
    • ② 給付基礎日額の60日分

3、労災保険給付の請求方法

労災保険給付の請求先は、以下のとおりです。

① 療養の給付
労災病院または労災保険指定医療機関の窓口

② ①以外の労災保険給付
事業場の所在地を管轄する労働基準監督署


請求にあたっては、労災保険給付の種類に応じた請求書を提出する必要があります
請求書の様式は、各窓口で入手できるほか、厚生労働省のウェブサイトでも入手可能です。
また、労災保険給付の種類によっては添付書類が必要となります。
どのような書類が必要かについては、請求先の窓口担当者に確認しましょう。

4、労災保険給付の不足分は、会社に対する損害賠償請求を検討

労災による損害のうち、労災保険給付ではカバーされないものについては、安全配慮義務違反または使用者責任に基づき、会社に対して損害賠償を請求できる可能性があります。

① 安全配慮義務違反(労働契約法第5条)
会社は労働者に対して、生命・身体等の安全を確保しつつ労働できるように、必要な配慮をする義務を負っています。安全配慮義務違反によって労災が発生した場合、会社は被災労働者に生じた損害を賠償しなければなりません。

② 使用者責任(民法第715条第1項)
会社の従業員が、会社の事業の執行についてした行為によって労災が発生した場合、会社は被災労働者に生じた損害を賠償しなければなりません。


会社に対して労災に関する損害賠償を請求する際には、まずは弁護士に相談しましょう。弁護士は、被災労働者に生じた損害の具体的な内容や会社側の責任について、法律の専門家としての観点から主張や立証を行うことができます。

ご自身に発生した損害に見合う、適切な金額の損害賠償を請求するためには、弁護士に依頼することが最善です。

5、まとめ

労災によった生じた費用や損害のなかには、いったんは被災労働者が自己負担しなければならないものもあります。
ただし、いちどは自己負担した費用や損害であっても、後から労災保険に給付を申請できる場合もあれば、会社に対して損害賠償を請求できる可能性もあります
とくに会社に対して損害賠償を請求する場合には、会社側の責任を立証して適切な金額の損害賠償を受け取るために、専門家である弁護士に依頼しましょう。

ベリーベスト法律事務所では、労災に関して、被災労働者やご家族からのご相談を随時受け付けております。
会社に対して労災に関する損害賠償を請求したい方は、まずはベリーベスト法律事務所にご連絡ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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