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下請け業者として作業中に労災! 元請け業者に問える責任と裁判例

2022年10月18日
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下請け業者として作業中に労災! 元請け業者に問える責任と裁判例

大阪労働局が公表している統計資料によると、令和2年に大阪府内で発生した労災事故件数は、8726件でした。前年同期と比較すると80件減少していますが、ほぼ同水準の労災事故発生件数となっています。

労災事故というと一般的には、会社での業務中の事故をイメージする方が多いと思います。しかし、建設業においては、元請けが下請けに業務を依頼していることもありますので、元請け業者が指揮監督する現場で、下請け業者の労働者が事故にあうということも生じます。

このように元請けと下請けが関係する労災事故の場合には、通常の労災事故に比べて責任の所在が複雑になりますので、しっかりと理解しておくことが大切です。今回は、下請け業者の労働者が労災事故にあった場合の責任追及の方法について、ベリーベスト法律事務所 天王寺オフィスの弁護士が解説します。

1、下請け業者の社員や一人親方が現場でケガをしたときまずすべきこと

下請け業者の社員や、一人親方が現場でケガをした場合、以下のような対応が必要になります。

  1. (1)労災指定病院での受診

    現場でケガをしてしまった場合には、すぐに病院を受診しましょう。

    受診する際には、労災指定病院への受診することをおすすめします。
    この労災指定病院とは、労災保険法の規定による療養の給付を行うことを目的とした、都道府県労働局長が指定する病院や診療所です。

    労災事故によるケガは、どこの病院でも診てもらえますが、労災指定病院を受診すれば、無償で治療を受けることができます

    労災指定病院以外の病院だと、被災労働者がいったん窓口で医療費全額を支払い、その後、労災保険から支払った医療費の還付を受ける必要があります。

    また、医療費の還付を受けるための手続きが必要となり、時間もかかるため、できる限り労災指定病院を受診するようにしましょう。

  2. (2)労災申請手続き

    業務中に発生した事故に関しては、労働基準監督署から労災事故との認定を受けることができれば労災保険から以下のような補償を受け取ることができます。

    • 療養(補償)給付
    • 休業(補償)給付
    • 障害(補償)給付
    • 介護(補償)給付
    • 遺族(補償)給付


    建設現場における労災保険加入の手続きは、原則として元請け業者が行うことになっており、保険料の納付義務も現場ごとに元請け業者が負っています。

    そのため、建設現場でケガをした場合には、労災事故の認定を受けられる可能性がありますので、元請け業者に対して労災申請の手続きをしてもらうように申請をしましょう

  3. (3)会社が労災隠しをしようとしたときの対応

    労災事故が発生した場合には、事業主は労働基準監督署に対して、「労働者死傷病届」を提出しなければなりません。

    しかし、建設現場においては、元請けと下請けの力関係の差から、労災事故が発生すると仕事をもらえなくなることをおそれ、労働者死傷病届を提出しないことがあります。

    これを「労災隠し」といいます。
    会社が労災隠しをしようとした場合には、労働者個人で労働基準監督署に労災申請をすることもできます。

    申請をするか迷っていると、高額な治療費を自己負担しなければならないリスクが生じたり、障害が残ったとしても補償を受けられないというリスクが生じたりする可能性がありますので、必ず労災申請を行うようにしましょう

2、自身が所属する会社や元請け業者に問える責任

建設現場などで労働災害が発生した場合には、自身が所属する下請け業者および元請け業者に対して、以下の責任を追及することができる可能性があります。

  1. (1)安全配慮義務

    安全配慮義務とは、労働者が安全かつ健康に働けるようにするために、労働者を雇用する事業主に課せられている法律上の義務のことをいいます。

    雇用する労働者の人数に関わらず、一人でも労働者を雇用している場合には、当然に発生する義務です。

    安全配慮義務の内容は、法律上一律で定められているものではなく、職種や業務内容、労働場所など具体的状況によって義務の内容は異なってきます。

    安全配慮義務の内容に含まれるものとしては、以下のものが挙げられます。

    • 転落防止ネットを設置する義務
    • 機械などの整備点検を行う義務
    • 労働者に対する安全教育を行う義務
    • 労働者の労働時間を適切に管理する義務
    • 適切な資格者を現場に配置する義務


    このような安全配慮義務に違反した結果、労働者に損害が生じた場合には、労働者は、安全配慮義務に違反した事業主に対して、損害賠償請求をすることができます

  2. (2)使用者責任

    使用者責任とは、会社が雇用している労働者が他人に損害を与えた場合に、当該労働者だけでなく会社も責任を負わなければならないというものです(民法715条)。

    使用者責任は、会社は従業員の労働により利益を得ているため、従業員が第三者に損害を与えた場合には、その利益から補塡すべきという「報償責任の法理」という考え方と、「危険責任の法理」という、危険な行為によって利益を得ているのであれば、その利益から補塡すべきといった2つの考え方が根拠とされています

    たとえば、社内でパワハラやセクハラが生じた場合には、ハラスメントをした加害者だけでなく、会社も被害者に対して損害賠償責任を負わなければならないことがあります。

    また、建設業の現場において、労働者が機械の操作を誤り、他の労働者にケガをさせたという場合にも、会社が責任を負わなければなりません。

3、損害賠償請求の相手は誰になるのか

建設現場などでは、元請け業者、下請け業者など、さまざまな方々が関わっていますので、通常の労災事故に比べ、責任の所在が複雑になる傾向にあります。

このような労災事故が発生した場合には、以下の相手に対して責任を追及できる可能性があります。

  1. (1)下請け業者

    労災事故が発生した場合には、労災保険から補償を受けることができますが、労災保険からの補償だけでは十分な補償であるとはいえません

    労災保険からの補償では不十分な部分については、労災事故の発生について責任のある相手に対して、損害賠償請求という形で責任追及をしていくことになります。

    下請け業者の労働者が労災事故にあった場合には、まずは、直接の雇用関係にある、下請け業者に対して損害賠償請求をしていきます。

    下請け業者は、労働契約上の安全配慮義務がありますので、危険な現場などで労働者に作業をさせるためには、労働者に危害が及ばないようにするために、さまざまな配慮が必要です。

    そのような配慮を怠った結果、労働者が労災事故に巻き込まれてしまったという場合には、下請け業者は損害賠償責任を負わなければなりません。

  2. (2)元請け業者

    下請け業者の労働者と、元請け業者との間には、直接の雇用関係がないため、原則として元請け業者が下請け業者の労働者に対して、安全配慮義務を負うことはありません。

    しかし、直接の雇用関係がなかったとしても、下請け業者の労働者が元請け業者の指揮監督を受けて働いていたり、元請け業者の設備や機械などを使用していたりするなど、特別な社会的接触関係にある当事者に関しては、信義則上の安全配慮義務を負うことがあります

    このように、元請け業者と下請け業者の労働者との間に、実質的な指揮命令関係が認められるような場合には、元請け業者についても安全配慮義務を負うことになります。

    そして、元請け業者に安全配慮義務違反が認められる場合には、下請け業者の労働者は、元請け業者に対して、損害賠償請求をすることができます。

4、損害賠償請求を検討しているときは弁護士に相談を

下請け業者や元請け業者などに対して損害賠償請求を検討している方は、弁護士に相談をすることをおすすめします。

  1. (1)誰にどのような請求をすることができるかを判断できる

    建設現場で発生した労災事故については、元請け業者、下請け業者など、さまざまな業者が関与しているため、誰に対して労災事故の責任を追及すればよいかが不明確な場合が多いです。

    複数の業者に対して、損害賠償請求ができる場合には、相手の資力や立証の難易度などに応じて責任追及の相手方を選択していくことが大切になります。

    そのためには、どのように責任追及をするかなど、法的観点からの検討が必要不可欠となりますので、弁護士への相談が必要となるでしょう。

  2. (2)相手との交渉を任せることができる

    下請け業者の労働者個人が、下請け業者や元請け業者に対して責任追及をしようとしても、圧倒的な力関係から、労働者側の話を聞いてもらえないケースもあります。

    また、労災保険は生じた損害の全額を補償してくれるわけではありません。たとえば休業補償では、休業の1日目から3日目までは支給の対象外となっているため、休業して4日目からが支給対象となります。つまり、3日分の休業補償は労災保険から得られないのです。

    また、いわゆる慰謝料についても労災保険から支払われません。
    したがって、補償されない損害部分を請求したい場合は、会社への請求を検討する必要があります。

    責任のある会社に対して、しっかりと損害賠償請求をしていくためには、弁護士のサポートが不可欠となります。

    弁護士であれば、労働者に代わり、会社と交渉をすることができるため、法的観点から損害の発生と責任を主張・立証していくことによって、会社としても誠実に対応せざるを得なくなるでしょう。

5、まとめ

建設現場などで発生する労災事故については、重篤な障害が残ってしまったり、最悪のケースでは死亡してしまったりするものも多く存在しています。

責任主体が不明確な建設現場での労災事故について、しっかりと損害賠償請求をしていくためには、労働問題に詳しい弁護士のサポートが必要です

そのため、建設現場での労災事故でお悩みの方は、ベリーベスト法律事務所 天王寺オフィスまでお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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