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自筆証書遺言書は検認が必要! 家庭裁判所での手続き方法や注意点

2023年11月13日
  • 遺言
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自筆証書遺言書は検認が必要! 家庭裁判所での手続き方法や注意点

裁判所が公表している司法統計によると、令和3年に大阪家庭裁判所に申立てのあった遺言書の検認の件数は、1283件でした。

相続において遺言書を見つけた場合、どのような内容が記載されているのか気になり、すぐにでも開封したいと考える方も多いでしょう。しかし、遺言書が自筆証書遺言であった場合には、勝手に開封してはいけません。遺言書を開封するためには、家庭裁判所の検認という手続きを経る必要があります。

今回は、自筆証書遺言で必要となる検認の方法と注意点について、ベリーベスト法律事務所 天王寺オフィスの弁護士が解説します。

1、自筆証書遺言は検認をする必要がある

遺言書の検認とはどのような手続きなのでしょうか。以下では、遺言書の検認についての概要を説明します。

  1. (1)遺言書の検認とは

    遺言書の検認とは、遺言書の存在・内容を相続人に知らせるとともに、遺言内容を明確にして遺言書の偽造・変造防止を目的とした手続きです

    遺言書の保管者や遺言書を発見した人は、遺言者の死亡を知った場合には直ちに家庭裁判所に対して検認の請求をしなければなりません。

  2. (2)検認が必要となる遺言書とは

    遺言書であればどのような遺言書でも検認の手続きが必要になるというわけではありません。遺言書が偽造・変造されるおそれがある形式の遺言であった場合には、遺言書の検認が必要になります

    具体的には、以下の2つの形式の遺言については、遺言書の検認が必要です。

    1. ① 自筆証書遺言
      自筆証書遺言とは、遺言書が全文を自筆で書く形式の遺言書のことをいいます。紙とペンと印鑑さえあれば、誰でも簡単に作成することができ、費用もかかりませんので、手軽に作成することができる形式の遺言です。その反面、第三者が介在することによる偽造・変造のリスクがありますので、検認が必要な遺言書とされています。
      ただし、令和2年7月10日施行の改正民法によって、法務局での自筆証書遺言の保管制度が創設されました。法務局で自筆証書遺言が保管されている場合には、偽造・変造のおそれがありませんので、検認は不要となります。

    2. ② 秘密証書遺言
      秘密証書遺言とは、遺言書の内容を秘密にしたまま、遺言書の存在だけを公証役場の公証人に証明してもらう形式の遺言書のことをいいます。公証人および2人以上の証人の関与が必要になりますが、遺言書の保管は、遺言者自身で行うことになるため、偽造・変造のおそれがあることから、検認が必要な遺言書とされています。
  3. (3)検認しないで開封するとどうなる?

    「自筆証書遺言」または「秘密証書遺言」であるにもかかわらず、検認を受けることなく勝手に遺言書を開封してしまった場合には、5万円以下の過料という制裁を受ける可能性もあります。必ず検認の手続きを行うようにしましょう。

    また、検認の手続きを経ていない遺言書では、預貯金の払い戻し、相続登記といった相続手続きを行うこともできませんので、その意味でも、遺言書の検認は、相続手続きに必要不可欠なものといえます

2、家庭裁判所での検認手続きの流れ

遺言書の検認は、主に以下の流れで手続きを進めていきます。



遺言書の検認手続きの4つの手順について詳しく説明します。

  1. (1)家庭裁判所に検認の申立

    自宅で自筆証書遺言を発見したら、まずは家庭裁判所に検認の申立を行います。申立てをする家庭裁判所は、遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所になります。

    遺言書の検認の申立にあたっては、以下の書類が必要になります。

    • 遺言書の検認申立書
    • 遺言者の出生から死亡までのすべての戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本
    • 相続人全員の戸籍謄本


    検認の申立には、手数料として800円分の収入印紙と連絡用の郵便切手の費用が必要になります。

  2. (2)検認期日についての通知

    検認の申立が受理されると、裁判所から相続人全員に対して、検認期日についての通知が送られます。これによって、遺言書の存在を知らなかった相続人に対しても、遺言書の存在が知らされることになります

  3. (3)検認期日

    裁判所に指定された日時に家庭裁判所に行き、遺言書の検認を行います。検認期日は、申立人については必ず出席しなければなりませんが、それ以外の相続人については出席するかどうかは自由です。検認期日に欠席をしたとしてもペナルティーはありませんのでご安心ください。

    検認期日では、出席した相続人と裁判官が立ち会いのもと遺言書が開封され、遺言書の日付、筆跡、署名、本文の確認が行われます。確認した内容については、検認調書に記載されますので、それ以降、自筆証書遺言が偽造・変造されるおそれはありません

  4. (4)検認済証明書の申請・交付

    遺言書の内容にしたがって、預貯金の払戻しや相続登記などの相続手続きを進めていくためには、検認済証明書が必要になります。申立人は、遺言書の検認が終了後、検認済証明書の申請を行い、裁判所から交付を受けるようにしましょう。

3、検認したからといって、遺言書が有効になるわけではない

以下では、検認と遺言書に関する注意点について説明します。

  1. (1)検認をしたとしても遺言書が有効になるわけではない

    遺言書の検認は、遺言書の偽造・変造を防止するという目的で検認時点の遺言書の内容・状態を形式的に確認する手続きです。検認では、遺言書の内容が法律の要件にしたがったものであるかどうか、遺言者本人の筆跡であるかどうかなど実質面に立ち入って判断することはありません。

    そのため、遺言書の検認手続きを経たからといって、無効な遺言書が有効になるというわけではありません。遺言書の有効性を争うためには、別途、遺言無効確認の訴えを起こす必要があります

  2. (2)自筆証書遺言には厳格な要件が定められている

    自筆証書遺言は、手間も費用もかからないため、相続対策として多くの方が利用している手段です。しかし、法律上厳格な要件が定められていますので、その要件のひとつでも欠いてしまうと、遺言自体が無効となってしまうおそれがあります

    自筆証書遺言の要件としては、以下のものが挙げられます。

    • 遺言者が全文を自筆で書く(財産目録を除く)
    • 作成した日付を自筆で書く
    • 遺言者の氏名を自筆で書く
    • 印鑑の押印をする


    検認を終えた遺言書が上記の形式を満たしていないものである場合には、遺言書が無効になる可能性がありますので、弁護士に相談をしてみるとよいでしょう。

  3. (3)遺言書の内容によっては遺留分侵害額請求を受ける可能性がある

    相続人には、遺留分という最低限の遺産の取得割合が保障されています。しかし、遺言の内容によっては、相続人の遺留分を侵害していることもあります。

    侵害された遺留分に不満がある場合、相続人は、遺留分侵害額請求権を行使することによって、侵害された遺留分に相当するお金を取り戻すことができます。

    ただし、遺留分侵害額請求には、遺留分の侵害があったことを知ってから1年以内という期間制限がありますので、遺留分の侵害を知った場合には、早めに対応することが大切です。

4、遺産相続トラブルは弁護士へ相談を

遺産相続に関するトラブルは、弁護士に相談をすることをおすすめします。

  1. (1)遺言書の有効性を争うことができる

    「遺言書を作成した当時認知症だった」「遺言者本人の筆跡と違う」などのように遺言書の有効性に疑いがある場合には、遺言無効確認の訴えを起こすことによって、遺言の有効性を争うことができます。

    しかし裁判になれば、遺言が有効であるか無効であるかを証拠によって立証していかなければならず、個人で裁判手続きを適切に進めていくことは困難といえます。

    遺言の形式および内容に疑義がある場合には、弁護士のサポートを受けながら遺言の有効性を争っていくとよいでしょう。

  2. (2)遺留分侵害額請求のサポート

    「長男にすべての遺産を相続させる」など不平等な内容の遺言であった場合には、遺留分を侵害された相続人は、遺留分侵害額請求権を行使することが可能です。

    しかし、遺留分侵害額請求権を行使したにもかかわらず、相手が任意に支払いを行わない場合には、調停や裁判といった法的手段をとらなければなりません。また、遺留分侵害額請求には、1年という非常に短い期間制限が設けられていますので、遺留分の侵害を知った場合には早めに対応することが必要となります

    ご自身で対応するのは不安だという方は、相続トラブルの解決実績がある弁護士に依頼をして進めていきましょう。

  3. (3)相続争いを回避するための遺言書の作成をサポート

    相続人同士の争いが予想される場合には、生前に遺言書を作成することによって、相続争いを回避することができる場合があります。

    ただし、相続争いを回避するためには、法的に有効な遺言書であることはもちろんのこと、他の相続人の遺留分にも配慮した内容にする必要があります。遺留分を侵害する内容の遺言書も法的には有効ですが、相続人が遺留分をめぐる争いに巻き込まれてしまうリスクがあるからです。

    弁護士であれば、形式面だけでなく内容面からも問題のない遺言書になるように作成のサポートをすることができます。自筆証書遺言だけでなく公正証書遺言の作成についてもサポートできます。生前の相続対策をお考えの方は、まずは弁護士までご相談ください。

5、まとめ

自宅で自筆証書遺言を発見した場合には、家庭裁判所の検認手続きを行う必要があります。ただし、検認手続きは、遺言書の有効性を判断するものではありませんので、検認手続きで確認した遺言書の有効性に疑義がある場合には、別途、訴訟などの対応をする必要があります。

生前の相続対策や遺言書に関するトラブルについては、相続問題に実績があるベリーベスト法律事務所 天王寺オフィスまでお気軽にご相談ください。まずは状況を丁寧にヒアリングし、問題解決に向けてサポートいたします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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