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遺留分を請求された! 支払い拒否は可能? 確認すべき点と対応方法

2023年09月26日
  • 遺留分侵害額請求
  • 遺留分
  • 支払い拒否
遺留分を請求された! 支払い拒否は可能? 確認すべき点と対応方法

遺産相続においては、遺留分権利者から遺留分を請求されたら、その金額が適正である限りは原則として支払いを拒否できません。

ただし、遺留分権利者ではない者による請求や不適正な金額による場合には、支払いを拒否することができます。遺留分について思わぬ請求をされた場合には、適正な請求であるかどうかを確認するために、弁護士に相談することも検討してください。

本コラムでは、遺留分を請求された場合について、支払いを拒否することの可否や確認すべきこと、支払う必要がないケースの例や対応パターンなどについて、ベリーベスト法律事務所 天王寺オフィスの弁護士が解説します。

1、遺留分の支払いは拒否できるのか?

「遺留分」とは、相続できる遺産の最低保障額のことをいいます。

兄弟姉妹以外の相続人には、相続財産などに対して一定割合の遺留分が認められています。
遺留分は法律上の権利であるため、適正な請求を受けた場合には、支払いを拒否することはできません。

しかし、遺留分権利者ではない者による請求である場合や、遺留分として認められているよりも高額な金額を請求された場合などには、支払いを拒否できる可能性があります

2、遺留分を請求されたら確認すべきこと

遺留分の請求を受けたら、以下の事項について確認してください。



  1. (1)請求者が遺留分権利者であるかどうか

    請求者が遺留分権利者でなければ、遺留分を支払う必要はありません。
    したがって、まずは請求者が遺留分権利者であるかどうかを確認しましょう。

    遺留分を有するのは、兄弟姉妹以外の相続人です(民法第1042条第1項)。具体的には、被相続人の配偶者・子・直系尊属(父母など)が遺留分を有します
    また、遺留分を有する者を代襲相続した者も、被代襲者と同等の遺留分を有します。
    たとえば、被相続人の孫が被相続人の子を代襲相続した場合は、被相続人の子と同等の遺留分を有します。

    上記以外の者は遺留分を有しませんので、請求を受けても支払わないようにしてください。

  2. (2)請求されている遺留分侵害額は適正か

    適正な遺留分額を超える金額については、請求されても支払う必要がありません。
    遺留分を請求された場合には、金額が適正かどうかも確認しましょう。

    遺留分の金額を計算する式は、以下の通りです。

    遺留分額=遺留分の基礎となる財産額×遺留分割合

    ※遺留分の基礎となる財産額:以下の財産の総額(評価額)から、被相続人が死亡時に負っていた債務の全額を控除した額(民法第1043条~第1045条)
    • 相続財産(=被相続人が死亡時に有した財産)
    • 遺贈された財産
    • 相続人以外の者に対して、相続開始前1年以内に贈与された財産
    • 相続人に対して、相続開始前10年以内に贈与された財産であって、婚姻もしくは養子縁組のため、または生計の資本として贈与を受けたもの

    ※遺留分割合:以下の割合(民法第1042条)
    (a)直系尊属のみが相続人である場合:3分の1
    (b)(a)以外の場合:2分の1


    たとえば、遺留分の基礎となる財産額が3000万円で、相続人は被相続人の配偶者と子2人の計3人だとします。
    この場合には、被相続人の配偶者の遺留分額は750万円(=3000万円×4分の1)、被相続人の子の遺留分額は各375万円(=3000万円×8分の1)となるのです。

  3. (3)遺留分侵害額請求権の時効が完成していないか

    遺留分侵害額請求権(旧:遺留分減殺請求権)の時効が完成している場合は、遺留分を支払う必要がなくなります。
    したがって、遺留分の請求を受けたら、時効が完成していないかどうかも確認しましょう。

    遺留分侵害額請求権は、以下のいずれかの期間が経過すると、時効により消滅します(民法第1048条)。

    1. ① 相続の開始および遺留分を侵害する贈与・遺贈があったことを知った時点から1年
    2. ② 相続開始の時点から10年


    上記のいずれかの期間が経過していれば、遺留分を支払う必要はありません。

    ただし、これらの期間が経過するまでに内容証明郵便による請求を受けた場合や、訴訟を提起された場合などには、時効が完成しないことがある点に注意してください
    遺留分侵害額請求権の時効が完成したかどうかは、専門家である弁護士に確認を依頼することをおすすめします。

3、遺留分を支払う必要がないケースの例

以下では、遺留分を請求されても支払う必要がない場合について解説します。

  1. (1)相続人以外の者からの請求

    相続人以外の者には、遺留分が認められていません。

    たとえば、被相続人との間で以下の関係にある者には、遺留分は認められていないのです。

    • 離婚した元配偶者
    • 内縁関係にある者
    • 相続権がない直系尊属(被相続人に子がいる場合)
    • 孫(代襲相続人である場合を除く)
    • 伯父(叔父)、伯母(叔母)
    • 甥、姪


    これらの者から遺留分を請求された場合には、相手に権利がないことを主張して拒否しましょう。

  2. (2)被相続人の兄弟姉妹からの請求

    相続人ではあっても、被相続人の兄弟姉妹には遺留分が認められていません。
    したがって、被相続人の兄弟姉妹から遺留分を請求された場合にも、相手に権利がないことを主張して拒否することができます。

    また、被相続人の兄弟姉妹をその子(=被相続人の甥・姪)が代襲相続した場合にも、同様に遺留分は認められていないので拒否することができます

  3. (3)相続権を失った者からの請求

    もともと相続人であったとしても、以下の事由によって相続権を失った者には、遺留分が認められません。

    1. ① 相続欠格(民法第891条)
      相続に関する重大な不正にあたる一定の行為をした者は、法律上当然に相続権を失います。

    2. ② 相続廃除(民法第892条)
      被相続人に対する虐待・重大な侮辱その他の著しい非行があった推定相続人は、被相続人の請求に基づき、家庭裁判所の審判によって相続権を失います。

    3. ③ 相続放棄(民法第939条)
      家庭裁判所に相続放棄の申述を行った者は、初めから相続人にならなかったものとみなされます。


    これらの事由に該当する者から遺留分の請求を受けた場合にも、相手に権利がないことを主張して請求を拒否することができます。

  4. (4)他の相続人が先に遺留分を負担すべき場合

    遺留分を侵害されている相続人がいる場合、その遺留分侵害額は、受遺者または受贈者が以下の要領に従った順位により、遺贈額または贈与額の限度で負担します(民法第1047条第1項)。

    ※受遺者:遺言による贈与を受けた人
    ※受贈者:(契約による)贈与を受けた人

    1. ① 受遺者と受贈者があるときは、受遺者が先に負担する。
    2. ② 受遺者が複数あるとき、または受贈者が複数ある場合においてその贈与が同時にされたときは、遺贈・贈与の目的の価額の割合に応じて負担する。ただし、遺言者が遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。
    3. ③ 受贈者が複数あるとき(②の場合を除く)は、後に贈与を受けた受贈者から順次負担する。


    たとえば、以下の遺贈・贈与が行われた結果、相続人Aの遺留分が500万円侵害されたとします。

    • 2021年4月1日:Bに対する300万円の生前贈与
    • 2022年4月1日:Cに対する400万円の生前贈与
    • 2023年4月1日:被相続人死亡、Dに対する300万円の遺贈


    この場合、Aの遺留分侵害額500万円は、D→C→Bの順で負担します。
    負担額は遺贈額・贈与額が限度なので、Dが300万円(上限)、Cが200万円となります。BはAの遺留分侵害額を一切負担しません。

    上記のケースにおけるBのように、自分よりも先に遺留分侵害額を負担すべき相続人がいる場合には遺留分を支払う必要がないという点も認識しておきましょう。

4、遺留分を請求された場合の対応パターン

遺留分侵害額を請求された場合には、請求に応じて支払うことのほかにも、支払い時期の延長を交渉したり支払い義務の有無や金額について争ったりするという対応を検討することができます。

  1. (1)支払時期の延長交渉・期限の許与の請求

    請求された遺留分をすぐに支払うのが難しければ、支払いの時期を延ばしてもらえないか交渉しましょう。

    また、訴訟で遺留分を請求されている場合は、裁判所に対して申立てを行えば、支払うべき遺留分の全部または一部の支払いにつき、相当の期限が許与される場合があります(民法第1047条第5項)。
    経済状況が厳しいことを証拠に基づき主張して、裁判所に期限の許与を求めましょう。

  2. (2)支払義務の有無・金額を争う

    遺留分の請求が不適正なものである場合は、支払義務がないことまたは金額が不適正であることを主張して争いましょう。

    交渉による解決が難しい場合は、裁判所における調停または訴訟を利用します。
    調停や訴訟への対応にあたっては厳密な法的検討や周到な準備が必要になりますので、専門家である弁護士に依頼しましょう

5、まとめ

正当な遺留分の請求を拒否することはできませんが、請求額などについて法的な観点から反論する余地はあります。
遺留分の請求が正当なものであるかどうかを確認するためや、その後の対応について検討するため、まずは法律の専門家である弁護士に相談してください。

ベリーベスト法律事務所では、遺留分問題や遺産相続に関するその他の問題についてのご相談を承っております。
他の相続人から遺留分を請求されて悩まれている方は、まずはベリーベスト法律事務所にご連絡ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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