交通事故でロードバイクが全損! 減価償却の計算方法は?

2025年02月12日
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交通事故でロードバイクが全損! 減価償却の計算方法は?

令和5年に大阪市天王寺警察署管内で発生した交通事故は332件でした。

車と自転車の交通事故では、自転車側がけがをしたり、自転車が使えなくなったりするなどの被害を受ける場合もあります。特にロードバイクは、一般的な自転車と比べて高価格帯であることが多いため、交通事故で壊れると大きな損害を被ってしまいます。

ロードバイクの修理費や買い替え費用は、加害者側に対して損害賠償として請求可能です。ただし、加害者側から2年間での減価償却を主張されるおそれがあるので、弁護士に相談しながら対応しましょう。

本記事では、交通事故で愛車が全損した場合に、どのくらいの金額の損害賠償を請求できるのか、減価償却は適用されるのかなどを、ベリーベスト法律事務所 天王寺オフィスの弁護士が解説します。

出典:「大阪の交通白書(令和5年版)」(大阪府警察)


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1、事故でロードバイクが壊れたら、弁償してもらえる?

ロードバイクは高価であるため、交通事故で壊れると大損害が生じてしまいます。

交通事故で愛車が壊れてしまった場合は、相手方に対して損害賠償を請求できます。ただし、車体の損壊状態によって賠償額の計算方法が変わる点や、減価償却が適用される可能性に注意しましょう。

  1. (1)ロードバイクの修理費や買い替え費用は、損害賠償の対象になる

    交通事故の被害者は、加害者に対して不法行為に基づく損害賠償を請求できます(民法第709条)。

    損害賠償の対象となるのは、交通事故との間に社会通念上相当な因果関係がある損害すべてです。交通事故によってロードバイクが壊れた場合は、基本的には修理費が損害賠償の対象になります。

    なお、加害者が対物賠償責任保険に加入している場合は、保険会社がロードバイクの賠償額を支払うことになります。

  2. (2)全損したロードバイクに関する損害賠償額の計算方法

    ロードバイクの修理が不可能である場合や、修理費が買い替え費用を上回る場合は「全損」として取り扱われます。
    全損となったロードバイクの損害賠償額は、以下のいずれかの方法によって計算します。

    ① 再取得価格
    交通事故で全損したロードバイクの車種や、交通事故が発生した当時における経過年数などを考慮して、同等の中古ロードバイクを購入する場合にかかる費用を損害賠償の対象とします。

    ② 再購入価格
    交通事故で全損したロードバイクを、新品で購入する場合にかかる費用を損害賠償の対象とします。

    ③ 減価償却
    交通事故で全損したロードバイクを購入した際の金額から、耐用年数に応じた減価償却額を控除した金額を損害賠償の対象とします。


    再取得価格で計算するのが一般的ですが、購入した際の価格を減価償却して評価する方法もあります。再購入価格が認められるケースは稀ですが、事故状況その他さまざまな事情を考慮して検討することになるでしょう。

    被害者としては、できる限り自分に有利な条件で、壊れた愛車の損害賠償を受けられるように対応しましょう。

2、ロードバイクは減価償却が適用される可能性が高い

ロードバイクを含む自転車の法定耐用年数は2年間です。したがって、事故発生時にロードバイクの購入から2年以上経過していれば、減価償却を適用した愛車はほぼ無価値の扱いとなります

加害者側の保険会社は、支払う保険金の額を抑えるため、減価償却によって損害賠償額を計算しようとするケースが少なくありません。

愛車を購入してから間もない場合を除き、減価償却によって損害賠償額が計算されてしまうと、被害者には非常に不利になるケースが多いでしょう。弁護士のサポートを受けながら、適切な損害賠償額で計算するよう保険会社に求めましょう。

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3、ロードバイクの弁償金について交渉する手順

破損したロードバイクの損害賠償について、加害者側の保険会社と交渉する際の手順を紹介します。

  1. (1)再取得価格・再購入価格・減価償却後の価額を調べる

    まずは、前述の3つの計算方法によって、破損したロードバイクの損害賠償額がそれぞれいくらになるのかを調べましょう。

    損害賠償額を調べる方法は、計算方法に応じて以下のとおりです。

    ① 再取得価格
    中古自転車を販売する店舗から、車種や年式が同等である複数の中古自転車の購入見積もりを取得して、その平均値を用いるのが一般的です。

    ② 再購入価格
    新品の自転車を販売する店舗から、同じ車種の新品ロードバイクの購入見積もりを取得します。
    同じ車種が販売されていない場合は、同等と思われる車種の新品ロードバイクの購入見積もりを取得しましょう。

    ③ 減価償却
    交通事故で破損したロードバイクを購入した際の取得価額を調べ、減価償却費を取得価額から控除します。減価償却費の計算方法は「定額法」と「定率法」がありますが、ロードバイクは耐用年数が短いので「定額法」で計算すべきです。


    定額法による減価償却費は、以下の式によって計算します。

    1年あたりの減価償却費=取得価額×定額法の償却率


    ロードバイクの法定耐用年数は2年なので、新品で購入した場合、定額法の償却率は「0.500」です。

    ロードバイクの取得時から交通事故までの期間につき、1年未満の端数が生じる場合は、月割りで減価償却費を計算します。

    減価償却費の計算例
    2023年12月15日に新品で購入したロードバイク(取得価額48万円)が、2024年3月20日に発生した交通事故によって全損した場合

    減価償却費
    =48万円(取得価額)×0.500(新品購入の償却率)×4/12(4か月分)
    =8万円

    損害賠償額
    =取得価額-減価償却費
    =48万円-8万円
    =40万円
  2. (2)ウェア・ヘルメット類・カスタムパーツなどの損害も調べる

    交通事故で愛車が破損した際、ウェアやヘルメットなどの身につけていたアイテムも破損することがあるでしょう。
    このようなアイテムが破損した場合には、取得した金額から減価償却費を差し引いた金額を賠償額として計算することが一般的ですが、場合によっては再購入価格により損害賠償を受けられる可能性があります。被害を受けたアイテムをリストアップして、金額を調べましょう。

    サイクルコンピュータやフレームバッグなど、愛車に取り付けたカスタムパーツも、破損することがあります。カスタムパーツは、ロードバイクの取得価額に含めて損害賠償額を計算すべきケースと、ロードバイクとは別の財産として損害賠償額を計算するケースの両方がありえます。
    どちらの方法が適切であるかについては、弁護士にご相談ください。

  3. (3)計算書を作成して、保険会社に提出する

    壊れた愛車やアイテムなどの費用計算が終わったら、損害賠償額の計算書を作成して、加害者側の保険会社に提出します。

    ロードバイクの損害賠償額の計算方法については、前述の3つの方法による計算結果を比較したうえで、有利な計算方法を選択しましょう。

  4. (4)弁護士を通じて示談交渉をする

    計算書の提出後、破損したロードバイクについて損害賠償の示談交渉を行います。その際、けがの通院費や、後遺障害が残った場合はその損害に見合った損害賠償など、人身損害の示談交渉も行いましょう。

    加害者側の保険会社は、ロードバイクの減価償却を主張するなど、できる限り支払う保険金額を抑えようとしてくる可能性があります。適正額の損害賠償を受けるためには、弁護士を代理人として交渉することが有効です

  5. (5)示談書を締結し、損害賠償を受け取る

    加害者側の保険会社との示談交渉がまとまったら、合意内容を記載した示談書を締結しましょう。

    示談書を締結する際には、受け取るべき損害賠償の項目に漏れがないか、金額は適切であるかなどを慎重に確認すべきです。示談書に不備がないかどうか、弁護士にチェックしてもらいましょう。

    示談書を締結すると、基本は数週間程度で保険会社から保険金が振り込まれます。

4、交通事故の被害に遭ったら弁護士に相談を

ロードバイクで走行中、交通事故の被害に遭った方は、速やかに弁護士へ相談しましょう。

弁護士であれば、ロードバイクや関連アイテムの適正な損害賠償額が計算可能ですまた、事故によってけがをした場合、治療費や入通院による慰謝料などを保険会社に請求することができます

事故によるけがが軽傷で済んだと思っていても、むちうちなどの症状が残ってしまう可能性もあります。弁護士は、残った症状の重さを表す「後遺障害等級」の認定を受けた場合に、等級に基づいた慰謝料を請求可能です。

また、保険会社との示談交渉が決裂して裁判となっても、弁護士に手続きを一任できるため、労力やストレスが大幅に軽減されるでしょう。

なお、自転車保険や、そのほかの保険に付帯されている弁護士費用特約を使えば、弁護士費用の負担はゼロになる可能性が高まります。
ロードバイク事故の損害賠償請求については、お早めに弁護士へご相談ください。

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5、まとめ

交通事故で愛車が破損した場合は、修理費や買い替え費用が損害賠償の対象となります。
ただし、計算の方法によってはロードバイクの破損による損害賠償額が不当に低くなってしまうおそれがあります。保険会社に対して適切に反論するためには、弁護士のサポートを受けましょう。

ベリーベスト法律事務所は、交通事故についてのご相談を随時受け付けております。交通事故に遭ってけがをした方や、後遺障害が残り、損害賠償を請求したい方は、ベリーベスト法律事務所 天王寺オフィスへご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています