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相手が同意していても罪に問われる? 同意の定義と刑法上の規定

2024年05月30日
  • 性・風俗事件
  • 同意
相手が同意していても罪に問われる? 同意の定義と刑法上の規定

警視庁の令和4年の発表によると、わいせつに関する罪は817件が検挙されていますが、昨今では「性的同意の有無」が注視されるポイントとなっています。

「同意」は、罪が成立するかどうかにかかわる重要なものです。たとえ相手からの同意があっても、同意させた側の社会的影響力や同意の状況などによっては罪に問われる可能性があるため注意が必要です。

今回は、同意の定義や成立する罪について、ベリーベスト法律事務所 天王寺オフィスの弁護士が解説します。

1、相手が同意していても罪に問われうる行為とは

相手が同意していても罪に問われる行為とは、どういったものがあるのでしょうか。

  1. (1)刑法上の「同意」とは

    犯罪の種類によっては、相手の同意があれば、犯罪として成立しないものがあります。

    しかし同意を得たとしても、同意の状況、行為の方法や手段、侵害の部位や程度によっては、刑法上、犯罪になってしまうケースがあります。また、被害者が同意した経緯に勘違いをさせるような行為があったり、正常な意思表示ができない状況の場合にも、被害者が本当に同意していたのか問題となり、刑法上は同意がなかったと評価される可能性があります。

    そのため、単に同意を得れば、どのような行為も許されるわけではありません。

  2. (2)性犯罪

    同意が問題となるケースの代表例が性犯罪です。

    昨今のニュースなどで度々話題になっているように、同意の形によっては不同意わいせつ罪(刑法176条)が成立する可能性があります。不同意わいせつ罪は、刑法上の一定の条件にあてはまる行為をして、わいせつ行為をした場合に処罰されます

    具体的には、以下の行為によって、性行為や性行為類似の行為をした場合に処罰されます。

    1. ① 暴行または脅迫による場合
    2. ② 心身の障害を利用した場合
    3. ③ アルコールや薬物を用いて同意を困難にした場合
    4. ④ 睡眠や意識が明瞭でない状態での同意
    5. ⑤ 同意しない意思を形成する時間を与えずにした場合
    6. ⑥ 予想と異なる状況にして恐怖や驚愕を指せた場合
    7. ⑦ 虐待を原因とした心理的反応で同意させた場合
    8. ⑧ 経済的または社会的地位に基づく影響力によって受ける不利益を感じさせた場合


    上記①~⑧にあたる行為によって性行為や性行為類似の行為をした場合、同意がなかったものとして不同意わいせつ罪が成立する可能性があります。不同意わいせつ罪が成立すると、6か月以上10年以下の拘禁刑に処されます。拘禁刑とは、刑務所等に拘束される自由刑で、刑務作業が科せられることもあります。

    また、性交等を行えば、不同意性交等罪(刑法177条)成立し、5年以上の有期拘禁刑に処されることになります。

  3. (3)同意殺人罪

    被害者の同意に基づいて殺した場合は、同意殺人罪(刑法202条)が成立する可能性があります。刑法上、「承諾を得て殺した者」と規定されており、同意があったとしても人を殺すことは犯罪です。

    また、同意する過程に暴行または脅迫、アルコールや薬物を利用した場合には、そもそも「承諾」がないものとして、殺人罪(刑法199条)に問われる可能性もあります。

    殺人罪になると死刑または無期もしくは5年以上の懲役になります。たとえ、同意殺人罪であっても6か月以上7年以下の懲役または禁錮刑になります。

  4. (4)傷害罪

    「殴ってもいい」と言われて殴って怪我をさせると、傷害罪(刑法204条)が成立する可能性があります

    たとえば、日常生活での悪ふざけや、お酒を飲んで「殴って来いよ」とけしかけられることもあるかもしれません。しかし、殴っていいと言われたから殴ったという言い訳は、必ずしも通用するとは限りません。

    また殴ってしまった結果、打ち所が悪く死亡してしまったとすると、傷害致死罪(刑法205条)が成立し、3年以上の懲役になる可能性があります。怪我をさせただけの傷害罪であっても15年以下の懲役または50万円以下の罰金になります。

    いずれにせよ、前科がつくことになるため、相手が同意しているのだから犯罪にはならないとは考えないようにしましょう

2、「同意していたはず」のケースでも罪になるのか

「同意していたはず」と思っても罪になる場合があります。具体的にどのようなケースかみていきましょう。

  1. (1)真意に基づかない同意

    1章の「性犯罪」でも解説した通り、暴行や脅迫を行った場合、被害者の同意はなかったものとして犯罪になる可能性があります。刑法は、個人の自由や権利を保護するものであるため、その人の真意でない同意があった場合には犯罪になる可能性があります。

    たとえば、「言うことを聞かないと、殺すぞ」と言って性行為をした場合、相手は性行為に同意しているとはいえません。また、相手を驚かせる、不意打ちをするなどして性行為に及んだ場合も、相手が性行為に同意していたとはいえません。

  2. (2)アルコールや薬物を利用した同意

    アルコールや薬物を利用した同意も、真の同意とは限りません。相手が行為を拒絶しなかった場合でも、あくまでアルコールや薬物の影響で拒絶できなかったためと判断される可能性があります。そのため、そのような状況で性行為を行えば、不同意性交等罪が成立するおそれがあります

  3. (3)社会的地位や経済的地位を利用した場合

    社会的地位や経済的地位を利用した場合にも性犯罪が成立する可能性があります。たとえば、上司が部下の降格・減給・解雇などをちらつかせながら性行為やわいせつ行為に及んだ場合、不同意性交等罪、不同意わいせつ罪が成立する可能性があります。

    なぜなら、上司部下の関係がなく自分にとって不利益がなければ、その行為に同意しなかったであろうと考えられるからです。そのため、意識がはっきりした状態で同意があったとしても性犯罪が成立する可能性があるのです。

  4. (4)未成年の場合

    相手が16歳未満の子どもの場合には、不同意わいせつ罪や不同意性交等罪が成立する可能性があります。なぜなら、16歳未満の子どもは、精神的に未成熟であり正しい判断ができない可能性があり、真の同意として扱うことができないからです。

3、刑事事件の流れ│逮捕・起訴・判決

同意があったはずなのに刑事事件になってしまった場合、どのような流れになるのでしょうか。

  1. (1)逮捕前

    被害者が被害届を出した場合や警察に連絡すると言われた場合は、なるべく早く弁護士に依頼して被害者と示談するようにしましょう。示談金を提示し心からの謝罪を相手に伝えることで被害届を取り下げてもらったり、被害届の提出をやめてもらえたりする可能性があります。

  2. (2)逮捕後

    被害届が受理されると捜査が開始されます。捜査により被疑者として逮捕されてしまうと、警察から取り調べを受けることになります。勾留は原則10日ですが、延長されるとさらに10日、最長で20日間にわたり勾留されることになります。勾留中に示談を進めることができれば、身柄が解放される可能性があります

  3. (3)起訴決定~裁判

    検察官により起訴されれば、被疑者から被告人となります。被告人の勾留は2か月ですが、1か月ごとに更新され、延長されます。

    裁判によっては勾留期間が長期にわたる可能性があるため、被告人には保釈請求の権利が認められます。保釈申請は、被告人本人や本人に近しい家族、弁護人等が行うことができます。保釈されれば心身の負担も減り、裁判に向けた準備もスムーズになるでしょう。

  4. (4)有罪判決~刑務所

    裁判で有罪判決を受けた場合、刑罰が科されます。ただし懲役3年以下であれば、執行猶予がつくこともあります。執行猶予とは、刑務所ではなく一般社会で更生するというものです。刑務所に入らず、社会復帰することができますが、執行猶予期間中に罪を犯してしまうと執行猶予が取り消される可能性が高いです。

  5. (5)刑事事件は起訴前に解決することが重要

    犯罪白書(令和4年版)によれば起訴後の裁判(第一審)の有罪総数は4万8537件です。対して無罪は91件でたったの0.2%でした。このように、刑事事件において起訴されると有罪になる可能性が極めて高く、前科をつけないためには、起訴される前に被害者と示談できるかが重要になってきます。

    しかし、示談に応じるかどうかは被害者の意思によります。性犯罪やわいせつ行為であれば被害者から激しく拒絶される可能性も否めません。刑事事件の解決実績がある弁護士に交渉を任せ、真摯(しんし)に謝罪することで、穏便な解決を目指しましょう。

4、弁護士でなければ解決できないこと

同意があったはずなのに被害届を出された、刑事事件になる可能性があるなどの場合は、すぐに弁護士に相談しましょう。逮捕までの時間は、早期解決のためにとても重要な時期であり、今後を左右する時期でもあります。

被害者との示談は直接行うとトラブルが深刻化することも多く、弁護士に任せるのが得策です。被害者との交渉がうまく運べば、もし逮捕されても被害届を取り下げてもらうことで釈放の可能性が高まります。

また、検察官や裁判官に働きかけて勾留を阻止する弁護活動にも期待できます。勾留は、被疑者が逃亡するおそれがある場合や証拠を隠滅する可能性がある場合等に認められます。そのため、逃亡のおそれがなく、身柄を拘束する必要性がないことや証拠を隠滅する可能性はないと弁護人が主張することで、勾留阻止につながります。

これら一連の対応を適切かつ迅速に行うことは、刑事事件の実績がある弁護士にしかできないことです。逮捕の可能性がある場合は、刑事事件の実績のあるベリーベスト法律事務所へ早期にご相談ください。

5、まとめ

相手が同意していたと思っていても、同意の状況や方法、手段によっては、犯罪が成立する可能性があります。特にアルコールを飲んだ場合や部下と上司と部下などの上下関係がある場合、相手が16歳未満の子どもの場合には注意が必要です。

ベリーベスト法律事務所 天王寺オフィスでは、刑事事件の解決実績がある弁護士が問題解決に向けて最善をつくします。同意をめぐってのトラブルや、逮捕、起訴に不安があれば、早期に当事務所にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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