ライドシェア解禁地域はどこ? 違法となりうるライドシェアと罰則
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「ライドシェア」と呼ばれる一般ドライバーによる有償送迎サービスが、令和6年(2024年)4月から条件付きで解禁されました。
しかし、ライドシェアに参入するためには厳しい法規制があります。
本コラムでは、ライドシェア解禁地域や、違法となりうるライドシェアについて、ベリーベスト法律事務所 天王寺オフィスの弁護士が解説します。
1、ライドシェア解禁地域はどこ?
そもそもライドシェアとは、どのような仕組みなのでしょうか。また、ライドシェア解禁地域はどこになるのでしょうか。
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(1)ライドシェアとは
ライドシェアとは、一般ドライバーによる自家用車相乗りサービスを指すのが一般的です。
国土交通政策研究所が公表している調査研究資料によると、ライドシェアは大きく「非営利型のライドシェア」と「営利型のライドシェア」の2種類に分類して考えることができます。
非営利型は、仲介によって他人を無償か、燃料代などコストの範囲内で同乗させることを指し、営利型は仲介によって他人を有償で同乗させることを指します。
日本では、第二種運転免許を持たないドライバーが利用客を有償で運ぶことは、原則として禁止されています。そのため、営利型のライドシェアは「白タク行為」と呼ばれ、これまで厳しく規制されていました。
しかし、タクシー運転手不足やインバウンド増加などを受けて規制緩和の議論が進み、令和6年4月から一定の地域や時間帯に限り、営利型のライドシェアが解禁されています。
参考:「運輸分野における個人の財・サービスの仲介ビジネスに係る国際的な動向・問題点等に関する調査研究」(国土交通省 国土交通政策研究所) -
(2)ライドシェア解禁地域はどこ?
国土交通省は、タクシー配車アプリのデータなどに基づいて、タクシーが不足している地域・時間帯などの調査を行いました。その結果、令和6年4月時点では以下の4つの地域が、タクシー不足地域として、ライドシェア解禁地域に指定されました。
① 東京23区、武蔵野市、三鷹市
- 月~金:7時台~10時台
- 金土:16時台~19時台
- 土:0時台~4時台
- 日:10時台~13時台
② 横浜市、川崎市、横須賀市ほか
- 金土日:0時台~5時台
- 金土日:16時台~19時台
③ 名古屋市、瀬戸市、日進市ほか
- 金:16時台~19時台
- 土:0時台~3時台
④ 京都市、宇治市、長岡京市ほか
- 月水木:16時台~19時台
- 火~金:0時台~4時台
- 金土日:16時台~翌5時台
なお、令和6年4月以降においても、天王寺がある大阪だけでなく、北海道、宮城、埼玉、千葉、兵庫、広島、福岡の大都市部だけでなく、軽井沢町をはじめとした観光地の一部などで順次解禁されています。
また、令和6年8月には雨天時や酷暑日などにおいて、稼働可能時間や使用可能車両数の制限を緩和する通達が行われました。
参考:「雨天時・酷暑における自家用車活用事業の使用可能車両数について」(国土交通省)
さらには、イベント開催時や災害対応時などについても順次対応可能なケースが拡大されました。全国的な日本版ライドシェアの稼働状況などは、国土交通省のサイトで公開されています。
参考:「日本版ライドシェア(自家用車活用事業)関係情報」(国土交通省)
2、違法となりうるライドシェア行為は?
日本では営利型のライドシェアには厳しい規制があります。条件付きで解禁されたライドシェアサービスについても、令和6年4月時点ではドライバーがタクシー会社に雇用されている必要があるなど、さまざまなルールがあります。
法的な規制をきちんと理解しておかなければ、違法なライドシェアとして処罰されるおそれがあるので、注意が必要です。
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(1)ライドシェア解禁地域以外でのライドシェア
日本では、ドライバーが有償で利用客を運ぶためには、第二種運転免許を取得する必要があります。このような免許を取得せずに有償で利用客を運送する行為は、道路運送法違反となります。これはいわゆる「白タク」と呼ばれる違反行為です。
現在、ライドシェア解禁地域に限り、第二種運転免許を持たない一般のドライバーもタクシー会社による運行管理を条件として、ライドシェアが可能となりました。
ただし、ライドシェア解禁地域以外では、有償でのライドシェアは禁止されています。ライドシェアと称して有償で利用客を運ぶ行為をすると、道路運送法違反(白タク行為)として処罰されるおそれがあります。 -
(2)ライドシェア解禁地域であっても指定の時間帯以外でのライドシェア
ライドシェアの解禁は、タクシーが不足する地域および時間帯に限って導入されています。そのため、ライドシェア解禁地域であったとしても、タクシーが不足するとされる時間帯以外に有償のライドシェアを行うと、道路運送法違反として処罰されるおそれがあります。
ライドシェア解禁地域でライドシェアをする場合には、ライドシェアを行う時間帯にも注意が必要です。詳しい稼働時間などは、各自治体のサイトでご確認ください。
お問い合わせください。
3、白タク行為として罪に問われたときに科されうる罪
ライドシェア解禁地域以外において、自家用車などを利用して有償で利用客を運送する行為は、道路運送法上の白タク行為にあたります。
タクシー事業を行うためには国土交通大臣による許可が必要です(道路運送法第4条)。許可を得ることなくタクシー事業を行った場合には、罰則が科される可能性があります(道路運送法第96条1号)。
- 3年以下の懲役
- 300万円以下の罰金
また、タクシー事業といえるほどの規模ではなくても、自家用車による有償運送は禁止されています(道路運送法第78条)。これは、自家用車には、自動車運送事業について行われている利用者の保護や輸送の安全のための措置がされていないことが理由です。
自家用車で有償運送をした場合には、以下の罰則が科される可能性があります(道路運送法第97条1号)。
- 1年以下の懲役
- 150万円以下の罰金
4、刑事事件化したら弁護士に相談すべき理由
違法なライドシェアとみなされ捜査対象となってしまった場合には、すぐに弁護士に相談することをおすすめします。
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(1)逮捕されたときに面会できるのは弁護士だけ
犯罪の嫌疑をかけられ、逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれが認められるときは、警察によって逮捕される可能性があります。
逮捕されると警察の留置施設で身柄を拘束されます。この間は外部と自由に連絡を取ることができなくなり、たとえ家族であっても面会することはできません。非常に心細い思いをして過ごすことになるでしょう。
逮捕期間中に面会できるのは弁護士のみです。
早期に弁護士に依頼し面会ができれば、状況を把握できるだけではなく、家族への伝言を頼むこともできます。職場への連絡を家族に依頼することなどができれば、社会生活への影響も最小限に抑えることができます。 -
(2)取調べに対するアドバイスができる
逮捕された身柄事件だけでなく、逮捕されずに捜査が進められる在宅事件でも、警察による取調べを受けることになります。
取調べにより聴取された内容は、「供述調書」と呼ばれる書面にまとめられ、後日の裁判の証拠となります。
ただし、捜査官により作成されるため、捜査機関側に有利なストーリーとなっている可能性がある可能性は否定できません。
きちんと内容をチェックすることなく、供述調書の署名押印に応じてしまうと、後日の裁判で不利な判決を受ける可能性があります。慎重に対応する必要がある点に注意が必要です。
刑事事件についての知見が豊富な弁護士であれば、捜査官による取り調べの手法を熟知しています。
そのため、取り調べにおける注意点を的確にアドバイスすることができます。弁護士によるアドバイスに基づいて取り調べに臨めば、不利な供述調書が作成されるリスクを最小限に抑えることができるでしょう。 -
(3)早期の身柄解放に向けた弁護活動ができる
逮捕・勾留されてしまうと、最長で23日間も身柄を拘束されてしまいます。その間は帰宅することはもちろん、仕事にも行くことができません。長期の無断欠勤を理由として、会社に解雇されてしまうリスクがあります。
そのため、逮捕・勾留されてしまったときは、できる限り早期に身柄を解放してもらうことが重要です。
違法なライドシェアによる道路運送法違反は、基本的には被害者がいない犯罪となるので、示談による身柄の解放を求めることはできません。
ただし、弁護士が意見書により逃亡や証拠隠滅のおそれがないことを裁判所や検察官に伝えることで、早期の身柄解放が認められる可能性があります。
お問い合わせください。
5、まとめ
政府はライドシェアの全面的な解禁に向けて議論を進めているとされており、令和6年4月1日からは一部の地域や時間帯に限りスタートし、順次多くのエリアで自家用車での利用客の運送が可能となっています。
ライドシェアはタクシー不足やインバウンド増加に対応するための制度として期待されていますが、十分に制度を理解しておかなければ違法なライドシェアとして処罰されるおそれがあるため注意が必要です。
違法なライドシェアや白タク行為によって刑事事件に発展してしまった場合は、ベリーベスト法律事務所 天王寺オフィスまでご相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
